退職願
働き始めて、2週間が経った。
まだ本番が始まる前の、トレーニング期間だった。
正直すっかり参ってしまい、先週は1日欠勤して寝込んだ。
特に仕事もなく、丸一日デスクに座り続ける生活に耐えられなかったのだ。
前職では大企業にいたので、新人さんに行うトレーニングのプログラムは整っていた。
何の仕事も与えず、ただ席に居てもらうなんてことはあり得なかった。
ただただパソコンの画面を見つめ続けることが辛くて、トイレで本を読んでいたこともある。はっきり言って、屈辱的だった。いじめを受けているのかと思ったくらい。
あまりに辛く、またトレーナーの価値観とも合わず、
本格的な仕事が始まってからも同じことが起きる可能性に
恐怖に近い不安を覚えた。
一度”退職”が頭に浮かぶと、それしか考えられず、社長に退職願を提出した。
…が、受け取って貰えなかった。たった2週間で判断しないでほしいし、
あまりに思慮が足りない対応だという。私に失望した、という趣旨のことも言われた。
確かに、仕事のことはまだ分からない。ただ、業界も職種も未経験の新人を
平気で放っておくような職場に私は失望したのですよ、ということがうまく伝わらなかったように思う。
小さい会社って、こんなもんなんだろうか。
図らずして、自分が一番縁遠そうな宣伝広告業界に足を踏み入れてしまった。
どこまで生き残ってゆけるだろう。